
NACCSとは?税関と民間企業をつなぐ通関システムについて徹底解説!
貿易実務は書類の原紙が必要な取引が多く、なかなかペーパーレス化が進んでいません。...
NACCSとは?税関と民間企業をつなぐ通関システムについて徹底解説!
貿易実務は書類の原紙が必要な取引が多く、なかなかペーパーレス化が進んでいません。原紙の郵送など、業務が非常に煩雑だと感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし近年、日本国内の行政と民間企業をつなぐ電子システムが主流になりました。それがNACCSです。
本記事では、NACCSとは何か、どのような業務ができるのか、メリットや利用方法まで解説します。最後まで読むことで、NACCSの基本がわかる内容になっているのでぜひご覧ください。
NACCSとは

NACCSとは、貿易関連の行政手続きと民間業務をオンラインで処理する日本のシステムです。
Nippon Automated Cargo and Port Consolidated Systemの略で、日本語の正式名称は「輸出入・港湾関連情報処理システム」と呼びます。
従来、民間の輸出入者とフォワーダー、および行政の税関で業務を行うには、お互いに書類の電子送付や郵送することが一般的でした。時には直接税関に足を運ぶことも。
しかし、状況確認に手間がかかるため、電子システムが導入されました。
NACCSの起源は案外古く、1970年代後半にスピード感のある航空貨物業務を対象に導入。その後1990年代に海上貨物業務も対象のシステムができるものの、航空貨物とは別のシステムで、できる業務内容も限られていました。
そしてついに、現行に最も近い航空貨物および海上貨物のシステムが統合したものが、2010年前半に導入されたのです。
NACCSで扱う業務

では、NACCSではどのような業務ができるのでしょうか。
主な業務内容は以下の通りです。
- 輸出入申告
- 輸入関税の納付手続き
- 手続きが必要な輸入品の届出・許可や検疫手続きなどの関係省庁への手続き
- 船舶・航空機の入出港手続き、積荷に関する手続
- 輸出・輸入貨物のインボイスやパッキングリストの情報(内容、数量、荷姿など)の登録・管理
ご覧の通り、現行のNACCSでは輸出入業務の多くが扱えるようになり、一案件をNACCSを介して完結できます。
具体的には、輸出であれば貨物の引き受けから、輸出許可、船や飛行機への搭載、出港までの手続き。
輸入であれば、船や飛行機の入港、荷卸し、輸入許可、関税納付、運送会社への貨物の受け渡しの手配まで手続き可能です。
NACCSを利用する機関

貿易実務と切り離せないNACCSですが、具体的にどのような機関が使用しているのでしょうか。官公庁と民間企業に分けて解説します。
官公庁
いわゆる行政の役所で、NACCSを利用するのは以下の5つの機関です。
- 税関:輸出入の申告や関税の徴収・納付など
- 国土交通省・法務省:入出港関連手続き
- 農林水産省:動物検疫、植物検査手続き
- 厚生労働省:食品の輸入手続き
- 経済産業省:貿易管理 など
貿易に関する役所としては、税関が真っ先に思い浮かびますが、それ以外の機関もNACCSを介して輸出入手続きを管理しています。
扱う貨物によって、普段はあまり関わらない機関もあると思いますが、これだけの機関が貿易に関する手続きがあるということを知っておきましょう。
民間企業
民間企業でNACCSを扱うのは、以下の8つの企業です。
- 船会社、船舶代理店:船舶の入出港
- 航空会社:航空機の入出港
- フォワーダー:コンテナや混載貨物などの業務
- 通関業者:通関
- 倉庫業者:保税倉庫業務
- 運送業者:運搬
- 銀行:関税の口座振替
- 損害保険会社:保険
船会社や通関業者だけではなく、銀行や保険会社もNACCSを介して案件の状況を把握しているのです。
改めて貿易には、様々な機関が関わっているのが分かるリストですね。
NACCSを利用するメリット

NACCSの概要が分かったところで、NACCSを利用するメリットを確認しましょう。
ペーパーレスによる効率化
業務をシステムで行うメリットは、なんといってもペーパーレスによる業務の効率化です。
冒頭でご説明のとおり、紙文化と言われる貿易業務をNACCSを介すことにより、紙の郵送や持ち込みを最低限まで減らせました。
また、一度システムにアップロードしたPDFの書類は各関係機関も閲覧できるようになり、都度書類を各所へ送る必要もなくなったのです。
貨物情報の共有
もう一つのメリットとして、リアルタイムに貨物の情報を入手できることも非常に便利なポイントです。
先ほど解説のとおり、貿易業務には様々な機関が関わっていて、それぞれの進捗状況を確認しなければいけません。
例えば、輸入であれば「船の入港→荷卸し→保税倉庫→通関→引き渡し」というような流れで手続きがされます。この引き渡しまでのスケジュールは、船会社や税関、通関業者、保税倉庫オペレーター、運送会社などが状況を確認しながら組まれるのです。
これだけの関連機関の状況を常に把握することが大変なのは、簡単に想像できますね。NACCSはあちこちに問い合わせる手間を省き、システム上で照会すればすぐに分かるというメリットがあるのです。
貨物の状況を確認するだけではありません。各方面で様々な様式の書類を作成するために、一度入力された情報はそのまま別の書類に引用できます。
各機関が何度も同じ情報を入力することがなくなり、たいへん業務が効率的です。
NACCSの利用方法

NACCSを利用するためには、まずは利用申込が必要です。申し込みから利用開始までの流れは以下の通りです。
- 運営する輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(NACCSセンター)に申込
- 回線工事
- デジタル証明の取得
- ソフトのインストール
- 利用開始
上記は専用回線を利用する方法ですが、インターネットを利用する「net-NACCS」もあります。
インターネット環境があれば、回線工事が不要なのはメリットですが、一部使用できない業務があるため利用目的に応じて事前に確認が必要です。
まとめ:NACCSを利用して効率的に貿易取引をしよう

本記事では、NACCSの基本やメリット、具体的な利用方法まで解説しました。
貿易では原則、紙媒体での取引が主流であること、また貿易には様々な機関が関わっていることから、NACCSは関係機関の業務効率化に効果的です。
取引の頻度などから、ぜひ導入を検討してみてくださいね。
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