
【初心者必見!】貿易用語を取引の流れに沿って解説!よく出る用語まとめ
貿易取引における業務の中では、貿易の専門用語が飛び交います。特に貿易用語はその英...
【初心者必見!】貿易用語を取引の流れに沿って解説!よく出る用語まとめ
貿易取引における業務の中では、貿易の専門用語が飛び交います。特に貿易用語はその英語の語句を略して使われることが多く、非常に聞きなれない用語が多いです。
今回は貿易実務初心者の方向けに、「聞いたことはあるけど、どういう意味?」「どんな場面で使う言葉?」といった疑問を解決すべく、専門的なよくでる貿易用語を、実際の取引の順に沿って、解説いたします。実際の業務に照らし合わせながら確認し順に覚えて下さいね。
輸出時の船積書類で使用する用語

まずは輸出時に作成する書類で必要になる用語を紹介します。特にインボイスで目にする様な用語は覚えておきましょう!
送り状:Invoice、I/V
輸出入通関のどちらでも使用する、輸出者が作成する送り状です。注文書(P/O)に沿って、誰が誰に、どんな条件で、どこからどこへ、何をいくつ、といった情報を記載します。通関で使用するだけではなく、請求書や納品書の役割も兼ねています。
パッキングリスト:Packing List、P/L
輸出貨物の梱包形態や重量、サイズ、荷印などが記載された、梱包明細書です。インボイス同様輸出者が作成します。
原産地証明:Certificate of Origin、C/O
輸出される貨物の原産地を証明する書類です。輸出者が発給し、輸入国の通関時に提出することで、通常の関税率よりも低い関税率の適用を受けることができます。日本では各地の商工会議所で発給します。
信用状:Letter of Credit、L/C
貿易取引を円滑に行うために、商品代金決済の支払い確約がされる銀行が作成する書類です。輸出者と輸入者の間に銀行を挟み取引にかかるリスクを軽減できます。
注文書:Purchase Order、P/O
輸入者が輸出者に商品を発注するときに作成する書類です。誰が誰に、どんな条件で、どこからどこに、いくらで何をいくつ、といった情報が記載されます。
船積依頼書:Shipping Instruction、S/I
船積指図書のことで、荷主からのブッキング(予約)の依頼内容やB/Lの作成明細が記載され、フォワーダーに提出されます。
インコタームズ
国際商業会議所(ICC)が輸出入取引において定型的な取引条件や費用負担や危険負担の範囲を定めた国際規則です。1936年の制定以降数回に渡り改正が行われ、直近では2020年に発効されました。
Booking
船会社や航空会社に船腹(スペース)の予約を行うことです。
Shipper
荷送人のことで、B/L上では貨物の所有者を意味します。
Consignee
受諾人、荷受人のことで、貨物が引き渡される相手として運送状に記載されます。L/C決済を行う場合は、銀行が荷受人になる場合もあります。
Notify Party
B/Lに記載されている、荷渡地での荷受人の連絡先のことです。
ETA
Estimated Time of Arrival の略で、本船や航空機の到着予定日のことです。
ETD
Estimated Time of Departure の略で、本船や航空機の出発予定日のことです。
Shipping Mark
他の貨物と区別するために、貨物ごとに添付されたマークのことです。各種船積書類に記載し書面と現物の一致を確認します。
Freight Prepaid
輸出者で運賃を既に支払っているという意味です。輸出者側で運賃を負担する貿易条件CFR、CIF、DAP、DDPで使用します。
Freight Collect
輸入者が運賃の支払いをしなければならないという意味です。輸入者側で運賃を負担する貿易条件EXWやFOBなどで使用します。
輸出許可申請
外国為替よび外国貿易法において、特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物船の輸出については、経済産業大臣の許可を受けなければならないとされており、輸出前に行わなければならない申請のことです。主に軍事用や武器などの用途転用が懸念される貨物に対して行います。
非該当証明
輸出規制対象に該当しないということを証明する書類です。輸出通関時に輸出貨物に懸念がある場合に提出を求められます。
リスト規制
輸出する場合に必ず輸出許可申請が必要になる物や技術をリスト化したものです。
キャッチオール規制
リスト規制に該当しないものでも、その貨物の用途と需要者を確認して、軍事用途や大量破壊兵器に使用されないかどうか確認するように求めた規制です。
梱包、貨物搬入で使用する用語

本項では、輸送梱包の種類と梱包後の貨物搬入時に耳にする用語についてご紹介します。特に梱包についてはそれぞれ理解し、輸送しようとしている貨物に最適な梱包形態を選択し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
ケース梱包
合板で六面を塞ぎ、密閉された木箱の形で梱包する方法のことです。密閉されているため、防水や防湿に優れ、圧力や衝撃からも貨物を守ることができます。
パレット梱包
貨物が入った箱を複数重ねて固め、パレットに組み付けるようにする梱包方法です。小型のフォークリフト等で荷扱いできるほどのサイズの貨物に用いられることが多いです。
スキッド梱包
パレットを土台にして、スキッドで簡単に梱包する方法です。衝撃による破損の危険が小さい場合や、防水が不要な場合に使用します。
クレート梱包
木を格子状に組み付けて、隙間が空いた木箱のように梱包する方法です。衝撃にも強く、ケース梱包より使用する木材が少なくて済むため、ケース梱包よりも費用が安くすむことがあります。
カートン梱包
ダンボールによる梱包のことで軽い貨物に使用します。より強度のある強化ダンボールを使用することが多いです。防水は期待できません。
バリア梱包
高湿度な海上輸送で、金属製品などを湿気やサビから守るために行う梱包方法です。主にケース梱包と組み合わせます。
ラッシング
ワイヤーやロープを使用して、貨物の荷崩れを防ぐために貨物を固定することです。
CY(コンテナ・ヤード)、CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)
CY(コンテナ・ヤード)とは、コンテナを本船に詰め込んだり、荷下ろしを行う場所を指し、CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)とは、貨物の量がコンテナ1本に満たない小口貨物を混載する場所のことを指します。
FCL、LCL
FCLとはFull Container Loadの略で、コンテナ1つを単位とした輸送方法で、LCLとはLess Container Loadの略で、1本のコンテナに満たない小口貨物の輸送のことを指します。
ドライコンテナ
最も普及しているコンテナで、20ftと40ftの2種類があります。貨物に応じてどちらかを使用し、どちらを使用するかで海上運賃も異なります。
特殊コンテナ
ドライコンテナでは運送できない貨物に対応したコンテナで、冷凍機能を持つリファー・コンテナや、高さのある貨物に対応したオープン・トップ・コンテナ、長尺や特殊な形のものに対応したフラット・ラック。コンテナなどがあります。
CUT日
CYやCFSへの貨物搬入締切日のことです。一般的にCYは本船入港の1日前、CFSは本船入港の2日前に設定されます。
バンニング
輸出する貨物をコンテナに詰め込む作業のことです。
貨物受取証:Dock Recipt、D/R
一般に、フォワーダーが貨物を受けとりCYもしくはCFSに搬入した際にフォワーダーより発行される書類のことです。本書類の内容を確認してB/Lが作成されます。
輸出通関手続き、出港時に使用する用語

本項では、貨物を預けてから出港までの間で耳にする用語を解説します。船荷証券(B/L)の種類については、ご自身が取り扱うものから順に理解してください。
MSDS
Material Safety Data Sheetの略で、製品の材質や取り扱い注意事項が記載されています。貿易の分野においては、化学品の輸送の際に、貨物が危険品に該当するかどうかを確認するために使用します。危険品の場合は輸送方法に制限がかかります。
NACCS(ナックス)
Nippon Automated Cargo and Port Consolidated Systemの略で、日本の通関手続きや関税の納付などを円滑に行うためのシステムです。
税番:HS Code
商品の名称および分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)に基づいて定められたコードで、主に6桁で構成されています。200以上の国と地域がHSコードを使用して共通のルールとして貨物の分類をしています。
輸出申告書(輸出許可通知書):Export Declaration、E/D
輸出を許可してもらうために税関に対して輸出者名、品名、数量、輸出金額、船名等を申請する書類のことで、税関が許可をした後にE/Dが発行されます。
船荷証券:Bill of Loading 、B/L
船積書類の1つで、船会社が輸出者の貨物を受け取ったときに発行され、貨物の引き取り時に必ず必要になる書類です。有価証券、流通証券としての性質も持っています。
サレンダードB/L:Surrendered B/L
船会社が輸出地で輸出者から回収したB/Lのことで、オリジナルのB/Lは船会社が持っているため、輸入者が入港後速やかに貨物を受け取ることができます。貨物の到着が書類より早い場合や近隣国との取引で使用されます。
記名式船荷証券:Straight B/L
荷受人の欄に特定人が記載されており、その特定人しか貨物の引き渡しを請求できないB/Lです。
指図式船荷証券:Oder B/L
次の権利者が特定されておらず、荷受人欄に「To Oder」と記載されるB/Lです。裏書きをすることで、所有権がその人へ移転します。
通し船荷証券:Through B/L
積み地から揚げ地まで複数の運送手段を使用した場合に発行される、単一船荷証券のことです。
船積船荷証券:Onboard B/L
貨物が本船に積み込まれたことを証明するB/Lで、Shipped B/Lとも言います。
受取船荷証券:Revived B/L
実際に本船には積まれていないが、CYやCFSで荷受したことを証明するB/Lのことです。
Master B/L
フォワーダー(混載業者)を利用する場合に、船会社がフォワーダーに対して発行するものがMasterB/Lです。フォワーダーが荷受した小口輸出者に対しては発行されません。
House B/L
フォワーダー(混載業者)を利用する場合に、Master B/Lの内容を以ってフォワーダーが荷受したそれぞれの小口輸出者に対して発行するB/L がHouse B/Lです。
Sea Waybill
海上運送状のことを指します。有価証券ではないので輸入者の代金決済の有無にかかわらず輸入者が貨物を引き出すことができます。リードタイムは削減できますが、輸出者の代金回収リスクが残ります。
在来船輸出で使用する用語

前項まではコンテナ船を利用した手続きで聞く用語でしたが、在来船を使用する場合はまた異なる用語があります。本項では在来船特有の用語についてご紹介します。
在来船
コンテナに入りきらない重量物や大型貨物を取り扱う船で、クレーンなどの荷役設備が整っています。
船積申込書:Shipping Applications、S/A
フォワーダーが船会社へ提出する、在来船の予約に使用する書類のことです。
船積指図書:Shipping Order、S/O
B/Lを作成するために必要な情報を荷主が記載し船会社へ提出する書類です。コンテナ船の場合はShipping Instruction、S/Iです。
貨物受取書:Mate’s Recipt、M/R
在来船への貨物の積み込みが終わった際に発行される受取書のことです。コンテナ船の場合はドックレシートです。
航空輸出で使用する用語

航空輸送においても、船舶輸送と異なった用語が使われます。船舶輸送と比較しながら理解しましょう。
Air Waybill(AWB)
航空輸送の際に、航空会社(または航空貨物代理店)から発行される、航空貨物専用の運送状です。航空便の便名やスケジュールのほか、どこから誰に、何を、といった情報が記載されています。
Master Air Waybill(MAWB)、House Air Waybill(HAWB)
フォワーダー(混載業者)を利用して航空輸送を行う場合に、まず航空会社がフォワーダーに対して発行するものがMaster Air Waybill(MAWB)、その内容を以ってフォワーダーが荷受したそれぞれの小口輸出者に対して発行するAir Waybill がHouse Air Waybill(HAWB)です。
貨物引渡指図書:Release Order、R/O
航空貨物を引き取る際に必要な書類のことです。輸出者が貨物の荷受人を輸入者側の銀行としている場合において(Air Waybillは有価証券ではないので、債権確保のため)、輸入者側の銀行が輸入者にRelease Orderを発行し、それを航空会社に提出することで、貨物を引き取ることができます。
国際宅急便:Courier Service
小口の貨物や書類を海外に輸送する航空便を使用した配送サービスの総称です。
輸入通関と貨物引き取り時に使用する用語

本項では輸入の実務でよく使用する用語を解説します。輸出時よりは覚える用語は少ないですが、輸入諸経費にかかってくる重要用語なので確認しましょう。
貨物到着案内書:Arrival Notice、A/N
船が入港する間際に本船の到着を通知する、船会社から発行される書類です。本船の入港日情報だけではなく、運賃着払い(Freight Collect)の場合は運賃の請求額が記載されており、請求書の役割も持っています。
輸入申告書(輸入許可通知書):Import Declaration、I/D
輸入を許可してもらうために税関に対して輸入者名、品名、数量、輸入金額、関税、消費税等が記載されている書類のことで、税関が許可をした後にI/Dが発行されます。
無料保管期間:フリータイム
揚げ地において、CYやCFSから貨物を引き取るまでの間、保管料の支払いを免除される期間のことです。
超過保管料:デマレージ
揚げ地において、荷揚げされた貨物がフリータイムを過ぎてもなお引き取られていない場合に課される「超過保管料」のことです。
返却延滞料:ディテンション
揚げ地において、荷揚げされたコンテナがフリータイムを過ぎてもなおコンテナが返却されていない場合に課される「返却延滞料」のことです。船会社が早期のコンテナ回収を促すために設定されています。
デバンニング
コンテナから貨物を取り出す作業のことです。バンニングの反対語です。
ドレージ
コンテナに入った貨物を、コンテナのまま陸上輸送することを指します。陸揚げしてそのまま配送先まで輸送するので、デバンニングのコストなどが削減できます。
代金決済で使用する用語

取引をすると必ず発生する金銭のやりとり。トラブルを防ぐためさまざまな決済方法があります。以下を理解し適切な決済方法で契約を結ぶことが大切です。
為替予約
外貨で取引をする際に、為替変動による差損益のリスクを避けるため、将来の一定時期の為替レートを現時点で決定するための手続きのことです。
荷為替手形
輸出代金を決済するために為替手形に船荷証券等の船積書類を添付した手形のことです。
L/C決済(信用状付荷為替手形決済)
輸出者と輸入者の代金決済におけるリスクを小さくするために、間の銀行が発行する信用状を利用した決済方法です。
D/P決済、D/A決済(信用状なし荷為替手形決済)
信用状を利用しない決済の中で、輸入者が貨物の決済をすることで船積書類を入手し貨物を引き取れるのがD/P(Document Against Payment)決済で、輸入者が手形の支払日を確約し、支払う前に船積書類を入手し貨物を引き取れることをD/A(Document Against Acceptance)決済と言います。
T/T決済(電信送金)
国を超えた銀行同士の送金(振込)で決済することです。
ディスクレ
信用状決済において、船積書類と信用状の内容が一致していないことを指します。ディスクレパンシー(discrepancy)の略。ディスクレがある場合は銀行は荷為替手形を買い取ってくれません。
その他重要用語

本項では貿易実務全般で耳にする用語を紹介します。
海貨業者(乙仲)
主に港湾地区での輸出入の手続きや物流を取り扱う業者のことを指します。航空便など全ての国際輸送業務を行なっているとは限りませんが、現在は事項のフォワーダーと同じ意味で使用されることが多いです。
フォワーダー
貨物利用運送業者のことを指し、海上、航空、陸路全ての輸送会社の間に入って物流を取り扱う業者のことを指します。
NVOCC
非船舶運航業者のことで船舶などの輸送手段は持っておらず、荷主から貨物を預かり船会社に輸送を依頼する業者です。フォワーダー業務の一部を担い、最適な輸送方法の提案や事務代行などを行います。
トランスシップ
積荷港から輸送された貨物を、途中の港で別の船に積み替えることを指します。
Surcharge(サーチャージ)
燃料費の高騰や為替レートの変動など船会社や航空会社の不可抗力の側面での経営リスクを回避するために、運賃と別建てで請求される諸経費のことです。
【補足】貿易に関わる国際条約と協定

貿易取引では、国際条約のルールも遵守しながら取引を進める必要があります。重要な条約や協定を以下にまとめますので、一読することでより円滑に取引ができると思います。
ワルソー条約
1929年、ポーランドのワルソーにて署名された、国際航空貨物、旅客の運送に関する航空運送人の責任や航空運送状の記載事項を定める条約のことです。
ワシントン条約
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約で、特定の種が過度に国際取引に使用されることのないように規制する国際条約です。
HACCP
危害分析重要管理点のことで、ハサップまたはハセップと読みます。食品等の安全を確保する管理手法のことですs。
IATA
International Air Transport Associationの略で、国際航空運送協会のことです。民間航空事業を行う定期航空会社が加盟しており、IATAが定めた運賃と運送約款で航空輸送が行われています。
EPA/FTA
貿易や投資の自由化・円滑化を進める国際協定で、EPA(Economic Pertnership Agreement・経済連携協定)は関税だけでなく知的財産の保護や投資ルールの整備をしており、FTA(Free Trade Agreement・自由貿易協定)は関税の撤廃や削減を求めています。
TTP
Trans-Pacific Pertnership(環太平洋パートナーシップ)協定のことで、太平洋沿いに位置するアメリカ、日本、オーストラリア、チリ、シンガポールなど12ヶ国が締結している自由貿易協定(FTA)のことです。
RCEP
Regional Comprehensive Economic Pertnership Agreement(地域的な包括経済連携)の略でASEAN加盟ほか15国で提携された協定。
まとめ

本記事では貿易用語を取引の流れに沿って解説をいたしました。スポットスポットで耳にする用語はなかなか覚えにくいですが、取引の流れとともに覚えることで忘れにくくなると思います。
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