
ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)とは?メリット等を解説
日本の製造業が国際市場において低迷している、存在感が無くなったといわれています。...
ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)とは?メリット等を解説
日本の製造業が国際市場において低迷している、存在感が無くなったといわれています。
現状から打破するためにはどのような解決策があるのでしょうか?
製造業の現状を打破するのはものづくりのプロセスや、デジタル化だと様々な要因が叫ばれていますが、この記事ではものづくりのプロセスに欠かせないECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)について、意味やどんなメリットがあるのか等について解説しています。
ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)とは?

ECMとは、製造工程における一連のプロセスをマネジメントする取り組みのことです。
製造工程におけるプロセスは互いにチェーンのように絡み合い、どの工程をどことつなげるか・組み合わせるかにより、効率性に違いがあります。
そのプロセスにおける取り組みが「ECM」です。英語では、Engineering Chain Management(エンジニアリングチェーンマネジメント)と表記され、その頭文字を取っています。
ECMは製造工程においての最適化・効率化を実現させる手段なのです。
ECMの具体的なプロセス

製造業の製品開発のプロセスはおおまかにあげると以下のとおりです。
- 市場調査
- 企画
- 製品設計
- 工程設計
- 開発
- 調達
- 製造
- 出荷
- 販売
- アフターサービス
上記のように製品開発におけるプロセスには様々な工程があり、各フローはそれぞれが単独で行われるのではなく、関連しあいながら製品が開発されます。
ECMではこの各工程の取り組みを最適化・効率化させます。
最適化や効率化の一例として、製品設計の部分でAIを導入する、製造の部分で産業ロボットを製造ラインに組み込む、といった取り組みがあげられます。
ECMが注目される理由

次になぜ今ECMが注目されているのか、その理由について解説します。
次のような要因からECMが注目されています。
・最先端テクノロジーの活用
・製品ニーズの多様化
・国際的なコスト競争
・製品サイクルの短期化
・高い製品品質の要求
・製造物責任
上記の要因を以下で詳しく説明します。
理由1 最先端テクノロジーの活用

昨今では、製造業に限らずどの業界でもテクノロジーの活用が急務となっています。
人手不足、業務の効率化などを考えた場合、最先端テクノロジーを導入して企画・開発・製造を行うことは不可欠です。
また最先端テクノロジーを搭載した製品は、新しい市場創出の機会も与えてくれます。
最先端テクノロジーの活用・導入する際にも、ECMの概念を用いることができます。
開発・製造・流通・販売など各工程のどの部分にテクノロジーを組み込んでいくのか、各工程をどうマネジメントするかということに役立ちます。
理由2 製品ニーズの多様化

以前はテレビコマーシャル等で製品をアピールすれば、簡単に商品・サービスを売ることができました。
しかし、昨今では人々の意識が多様化し、性別・年齢・地域などによる細かいニーズへの対応が求められています。
多様化する製品ニーズの需要に応じるために、開発・製造工程でECMの取り組みが重要です。
例として、部門間の接点を強化する、製造体制には組織全体を巻き込んだ取り組みに作り変えるなど、よりスピーディーで柔軟な製造体制に組み替えることがあげられます。
理由3 国際的なコスト競争

新興国市場での製品の開発や製造が活発となり、国際的なコスト競争も激化しています。
世界がグローバル化に向かう中で、もはや日本国内だけに目を向けていてはコスト競争に打ち勝つことはできないでしょう。
日本企業が新興国で活動する機会も増えていますが、新興国での流通や管理体制の整備といったECMでのマネジメントが不可欠になります。
理由4 製品サイクルの短期化

IMAGINARY DYNAMICSのデータによると、各企業で出した製品のライフサイクルは、年々短期化しています。ヒット商品のライフサイクルは、1980年代で5年超、1990年代では3~5年未満、そして2000年代に入ると1~2年未満と年々短くなっています。
製品サイクルが短くなることで、製造業における設計や開発にも影響が出ています。
流通網や設備の見直しが必要になったため、全工程をマネジメントするECMの取り組みが、注目を集めた一因ともなっています。
理由5 高い製品品質の要求

顧客が製品に対して高い製品品質を要求する傾向にあり、より管理の行き届いた製造工程や製品の開発が必要になっています。
このような要求に答えるためにも、企業においてのECMの取り組みは必須であるといってもよいでしょう。
製造プロセスの流れを、顧客が求めるニーズに合わせて組み立てていくことはECMの重要な要素であり、高い製品品質の要求へ対応することが可能になります。
理由6 製造物責任への対応

高い品質の要求と共に、製造物に対する責任のあり方を問われることも、各企業にとって外せない問題です。
製造物責任への問題に対処するには、企画開発から設計、製造までのすべてのプロセスにおいてのマネジメント抜きには解決することが困難であるといえます。
開発における作業の出戻りを減らす、各部門の情報を一元化するなど、ECMによる取り組みが欠かせないでしょう。
ECMを導入するメリット

ここからは実際に企業でECMを導入した場合に、どんなメリットがあるのかを解説していきます。
メリット1 製品の品質向上

最初に上げられるメリットに製品の品質向上があります。
製造業の企画から設計、製造、出荷といった一連の流れを最適化することにより、既存の商品における品質向上が見込まれることが期待されます。
メリット2 開発コストの削減

ECMの取り組みで開発コストの削減も可能です。
各部門における取り組みは、AIなどを組み込んで最適化することによりコスト削減が実現されますが、その際にも全体を調整・管理するECMの取り組みが欠かせません。
メリット3 業務効率の改善

業務効率の改善ができるということもECMの大きなメリットの一つです。
改善点には、企画、開発、設計、製造の各流れにおいてどの順番で業務を遂行するのか、またどのようなテクノロジーを導入するかなどがあげられます。
これらの問題を把握し、効率よく組み合わせることがECMでの重要な取り組みになります。
メリット4 設計情報・部品情報の共有化

製造業においては、特に設計情報や部品情報の共有化が欠かせません。
しかし、現時点での設計業務に関しては個人で行う場合が多く、全体の共有化がうまくできていないという問題があります。
また各業務の流れにおいて、別々に進められるために部門間の連結がうまくいかないという問題もあります。
このような問題にECMの取り組みで、部門間の連結や情報の共有化を図り、最適化することが可能です。
ECMとSCM・VCとの違い

ECMと類似の用語にSCM(サプライチェーンマネジメント)、VC(バリューチェーン)という言葉があります。
これらの用語は、どのような意味でまたECMとは、どう違うのでしょうか?
ECMについての理解を深めるためにこれらの用語を以下で解説していきます。
SCMとの違い

SCMは、Supply Chain Managementと表記し、頭文字を取ってSCMと呼ばれています。
「サプライチェーン」とは、原材料の調達から製造・流通と消費者へ製品が届けられるまでの生産・流通工程のことを指します。
生産・流通工程を最適化する取り組みがSCMです。
ECMと似ていますが、違いをあげるとSCMはあくまで製品の生産や流通に関して取り組みがなされる点です。
ECMは生産・流通のみならず上流工程の企画・開発部分までも含みます。
VCとの違い

VCは、Value Chainと表記し、頭文字を取ってVCと呼ばれています。
VCは、企業の活動によって生みだされた価値の流れを指す言葉です。
企業の活動とは、マーケティング、製品開発、生産、販売、顧客フォローといった活動があげられます。
この活動を連鎖としてとらえ、分析をしていくことで企業活動における事業戦略を、より有利に進めていくことができます。
VCを分析することで自社や競合の強みや弱み、どこで付加価値が生まれているのかといった情報を洗い出すことが可能です。
まとめ

ECMを行うと、顧客が求めるニーズに対応した製品をより的確に市場に投入することができます。
自社ブランドの拡大やグローバル市場での経営に、ECMの取り組みは欠かすことができません。
経営マネジメントの取り組みの一部でもあるECMを活用することで、企業間の競争をより有利に進めていくことが可能になるでしょう。
製造業に関わる企業の、マネジメントのヒントとなれば幸いです。
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