
【入門編】ERPとは?今さら聞けない基礎知識とメリットを解説!
従業員数の多い企業で特に耳にするようになった「ERP」。基幹システムと何が違うの...
【入門編】ERPとは?今さら聞けない基礎知識とメリットを解説!
従業員数の多い企業で特に耳にするようになった「ERP」。基幹システムと何が違うの?など今さら聞けない疑問を抱く方向けに、基本やメリットなどを解説いたします!
ERPとは

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略称で、統合基幹業務システム、基幹システムと日本語では言い換えることができます。
ERPは、企業の「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」「販売業務」など、つまりヒト、カネ、モノに関わる情報を一箇所にまとめて管理するためのシステムのことを指しています。
基幹システムとの違い

基幹システムとは、企業において生産管理・販売管理・在庫管理などの業務効率化を図る、各分野で独立したシステムになります。
基幹システムはその部署の決まった業務を効率よく行うためのシステムです。それに対し、ERPは企業の全ての部署・業務の情報を一元管理し、その情報を有効活用しようという目的を持っている点で異なります。
主なERPの機能

主なERPの機能には以下の6点が挙げられます。
- 人事・給与管理
- 販売管理
- 生産管理
- 購買管理
- 会計管理
- 営業管理
それぞれについて簡単に以下でご説明いたします。
人事・給与管理
人事給与システムとは、人事に関わるあらゆる業務を管理するためのシステムを指します。企業によって導入している機能はそれぞれですが、人事情報の管理、人事評価、給与計算、勤怠管理、採用管理などを行えます。
販売管理
販売管理システムとは、特に販売業において、お金と商品の流れを適切に管理するためのものです。お金の面では見積・売上・請求・入金・支払管理、商品の面では受注・出荷・発注・仕入・在庫管理などにの機能があります。
生産管理
生産管理システムとは、特に製造業において、計画、生産、販売、在庫、原価計算、品質などを統合的に管理するシステムのことです。製造現場の正確なデータを一元管理することができます。
購買管理
購買管理システムとは、発注業務の効率化やコスト削減、資材の在庫可視化のほか、社外取引での不正防止や内部統制にも役立つシステムのことです。その他、見積もりの取得や比較、検収業務、契約書の管理を行うことができるものもあります。
会計管理
会計システムとは、伝票の作成、帳簿への転記、帳票の連携、データの集計などを行えるものです。企業の取引を効果的かつ効率的に記録し、タイムリーな財務諸表作成にも役立ちます。
営業管理
営業管理システムとは、商談の進捗、受注確率、実際の受注予定日、納期、案件の詳細内容を管理するものです。顧客への信頼のためにきちんと案件の内容と納期を管理することや、社内で急な担当変更があってもスムーズに引き継ぎを行えます。
基幹システムは、上記の業務が独立したシステムになりますが、ERPで1つのシステムにまとめて管理することで、一つひとつバラバラのシステムを使うよりも全体の効率化が可能になります。
ERPでは、これらの管理業務を全て一つのシステムで行うことができるものが多いです。ベンダーによっては強みも異なりますので、上記に加えて様々な機能を持ったシステムを販売していることもあります。
ERPのメリットとデメリット

ERPの基本知識と機能が分かったところで、企業がERPの導入を検討する理由はどこにあるのでしょうか。導入のメリットとデメリットをご紹介しますので、是非導入の検討材料にしてください!
ERPのメリット
ERPのメリットは主に以下の3点が挙げられます。
- 企業のデータを一元管理できる
- 本来の業務に集中でき、生産性が上がる
- リアルタイムな経営判断ができる
データを一元管理できることは先述した通りですが、一元管理のメリットはやはり部署、部門間のデータ二重管理の手間や不整合を防ぐことです。また、部署間の調整やコミュニケーション等も簡単になることから、ミスも防ぐことができ、各種社員の生産性が上がることが期待できます。
また、ERPでは売上や利益、生産にかかる工数とコスト、債権など財務情報、仕入や在庫状況、人事情報など、現在の経営状況をリアルタイムに把握する事ができるようになっています。経営者もシステムを確認することで素早い経営判断をすることができます。
ERPのデメリット
ERPの主なデメリットは以下の3点です。
- システム選定・構築の難しさ
- 導入・保守費用のコスト
- システム使用のための社内啓蒙
まずERPの導入に、二の足を踏むことが一番多いのがシステム選定・構築の難しさだと思われます。会社規模が大きくなるほど、各部署の情報の集約およびERPに置き替える業務の棚卸しは、想像するだけでも相当な労力かと思います。
また、非常に高度な機能を持ったERPだと、導入や保守費用が高額になることがあります。これもERPの導入を諦めざるを得ない理由となる企業もあるでしょう。
さらに、ERPは幅広い部署と社員が使用することが前提となりますので、基幹システムの利用経験が浅いもしくは経験がない社員が多い場合、社内でのERP活用に関する啓蒙も骨が折れる業務になることでしょう。
とはいえ、ERPは導入時に二の足を踏むものの、導入後のリターンや付加価値が大いに期待できるシステムです。その点も是非念頭に入れた上でERPの導入を検討してみてください!
ERPの種類

ERPの導入が決まったら、システムの選定をしなければいけません。ERPを導入するには、「どこに作るか」、「どのように構築するか」という点を決める必要があります。それぞれについてご紹介いたします。
クラウド型とオンプレミス型
まずは「どこにシステムを置くか」という観点から、クラウド型かオンプレミス型の2つから選択が必要です。それぞれの違いは以下です。
- クラウド型・・・インターネット上にシステムを置いて、使用者はインターネットへアクセスし利用する
- オンプレミス型・・・自社が独自で所有しているサーバーにシステムを置く
それぞれのメリット・デメリットをご紹介しますので、自社に合ったものを選んでくださいね。
クラウド型のメリット・デメリット
まず、クラウド型のメリットはインターネット上にシステムを構築するので、自社でサーバーを保持する必要がなく、初期費用・ランニングコスト共に、コスト削減することが可能という点にあります。
さらに、インターネット上ですのでトラブルの際やシステムのアップデートの際には、ベンダーがリアルタイムにサポートが可能なことも利用者はメリットを感じることでしょう。
しかし、インターネットという点でセキュリティ面がデメリットとなります。外部から違法にアクセスされないようなクラウドシステムを持ったベンダーかどうか、確認をしましょう。
オンプレミス型のメリット・デメリット
オンプレミスとは、企業が情報システムの設備を自社内に保有し、運用することです。クラウド型のサービスやシステムが登場するまではオンプレミス型が主流でした。しかし、オンプレミス型の販売を終了するベンダーも増えてきており、クラウド型に置き換わってきています。
オンプレミス型のメリットは、自社に合ったカスタマイズをしやすい点です。自社の既存のシステムとの連携が容易になります。また、外部のサーバーと繋がっていないため、セキュリティが強いです。
デメリットは、自社にサーバー等の設備導入が必要になったり、既存サーバーの環境に合わせてベンダーがシステムを開発しなければならない場合があり、初期費用や導入費用がかさみます。
パッケージ型とフルスクラッチ型
システムを置く場所が決まると、次は「どのように構築するか」をパッケージ型か、フルスクラッチ型から選択する必要があります。それぞれの違いは以下です。
- パッケージ型・・・一般的によく使われる機能を初めから揃った形もの
- フルスクラッチ型・・・ゼロからベンダーと開発・構築していく形のもの
それぞれのメリット・デメリットをご紹介しますので、是非検討材料の一つとしてください。
パッケージ型のメリット・デメリット
パッケージ型は、初めから一般的によく使用する機能が揃っていますので、導入当初からすぐに使用できるというのがメリットです。また、開発等もほとんど不要のため、コストも抑えることができます。
しかし、パッケージ型はある程度型にはまった業務しか行えませんので、自社の慣習や独自の業務内容にシステムが対応しきれない可能性が残ります。場合によっては、ERPでかなえたかった業務効率化が、より煩雑になる可能性も考えられます。
フルスクラッチ型のメリット・デメリット
フルスクラッチ型は、自社の業務に合わせてオーダーメイドのようにシステムを構築できることがメリットです。自社の独自の慣習などをシステムに盛り込むことができます。
自由に構築できる分構築に時間を要するので、導入から運用までの期間が長いです。また、ベンダーにもノウハウがない内容を開発しながら構築するとなるとコストがかさむ可能性もあります。
ベンダーによっては、パッケージにオプションをいくつか付帯することで、フルスクラッチでなくても自社の要望を満たすことができる可能性があるので、ベンダーとしっかり相談することをおすすめします。
ERP導入の流れ

どのようなERPを導入するか、イメージがついたところで具体的なシステム導入までの流れをご紹介します。大まかな流れは以下の通りです。
- 導入目的を明確にする
- 打ち合わせ
- 業務の棚卸し
- 導入・試験運用
- 本格運用開始
それぞれについて詳細をご説明していきます。
導入目的を明確にする
まず初めに、ERPの導入目的を明確にすることが大切です。ERPを導入することでどのような課題を解決したいのかを明確にすることで、システムやベンダーを選びやすくなります。
打ち合わせ
社内で導入の担当者を決め、導入へのプロセスやシステムの選定ポイントについて打ち合わせをします。また、ERPに関するプロジェクトは社内の業務全般に関わるため、広い範囲をカバーできるように担当者を複数人決めることが望ましいです。
業務の棚卸し
社内での方向性が固まったら、具体的にERPに置き換えたい業務の棚卸しをします。既存の業務だけでなくERPによって新しく出来るようになる業務も洗い出しが必要です。業務プロセスは各企業固有のものなので、ベンダーではなく基本的には自社で棚卸しを進める必要があります。
導入・試験運用
棚卸しが完了したら、ベンダーと打ち合わせの上、導入作業に入ります。導入作業が完了したら担当者での試験運用を・修正・調整を行います。
本格運用開始
試験運用の課題が解決すれば、本格運用です。社員への説明会などで周知の上、運用を開始します。
ERPの導入には、それを専門としたコンサルタントも存在します。自社だけでは導入が難しい場合は、コンサルタントへの相談もおすすめします。
ERPの基本を理解し導入の検討をしよう

本記事では、ERPの基本やメリット・デメリット、導入までのフローをご説明しました。先述のとおり、ERPは導入時のハードルが高いものの、導入後のリターンを非常に期待できる魅力的なシステムです。本記事がERPの導入検討に不安をお持ちの方の一助となれば幸いです。
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