貿易用語のT/Tとはどんな意味?取引における決済の色々な方法も解説
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貿易用語のT/Tとはどんな意味?取引における決済の色々な方法も解説

貿易用語には普段使い慣れない用語が出てきますが、T/Tという言葉もその一つでしょ...

貿易用語のT/Tとはどんな意味?取引における決済の色々な方法も解説

貿易用語には普段使い慣れない用語が出てきますが、T/Tという言葉もその一つでしょう。
T/Tは主に決済の際に使われる用語です。

T/Tの意味や使い方、T/Tを貿易取引で使う際に気を付けたい点などを解説しています。

またT/Tとよく似た貿易用語であるL/CやD/P・D/Aについても、あわせて解説しました。

この記事を読めばT/TやL/Cなど、普段よく使われる決済についての貿易用語を詳しく知ることができます。

T/Tについて

T/Tの意味について考える女性

T/TはTelegraphic Transferの略で、「電信送金」という意味です。

一般にいう「銀行振り込み」のことで、貿易取引の場面で支払いをする際に使われる用語です。

国際貿易をする際には、輸出者と輸入者がお互いの取引条件を決めて締結を結びます。

締結が完了すると輸出者と輸入者の間で、支払いのやり取りをしますが、外国へ送金や入金を行わなければなりません。

外国送金の最も一般的な方法が、この「T/T」です。「T/T決済」と呼ばれることもあります。

外国送金の際には、郵便為替や小切手も使われることがありますが、銀行経由での電信払いが最も一般的です。

T/Tでの決済の流れ

T/T決済の流れイメージ画像

それではT/Tがどのような流れで行われ

るのか、詳しく説明していきます。支払いは以下の流れで行われます。

  1. 輸入者と輸出者の間で取引条件を締結
  2. 輸入者が銀行へ送金
  3. 銀行が輸出者へ代金を支払う

最初に輸入者と輸出者の間で、取引条件を締結します。

輸出者は取引先銀行に海外電信にて送金したい旨を銀行に伝え、銀行が手続きをして相手側の銀行に送金されます。

相手側の銀行が輸出者へ連絡をして支払いの手続きを取れば決済が完了です。
通常の銀行振り込みをイメージすると分かりやすいでしょう。

T/T以外の決済の方法

T/T以外の決済の方法

国際貿易における決済の方法には次のような方法があります。

・T/T(電信送金)
・M/T(普通送金)
・D/D(送金小切手)
・L/C(信用状)
・D/P, D/A(手形支払い書類渡し、信用状なし荷為替手形決済)

以下ではT/T以外の送金方法について解説していきます。

M/T について

M/T決済のイメージ画像

M/Tは、Mail Transferの略で「普通送金」のことです。

銀行から相手の銀行への連絡や支払い指示が電信ではなく、郵便で行われる点が特徴です。

電信でのやり取りではないため、手続きや支払いまでに多少時間がかかる傾向にあります。

M/Tでの決済の流れ

M/Tでの決済の流れは次のようになります。

  1. 輸入者と輸出者の間で取引条件の締結
  2. 輸入者の銀行から輸出者へ代金の支払い

まず輸入者と輸出者の間で取引条件を決めて契約の締結がされます

輸入者から輸出者へ銀行からの普通送金で、代金の支払いが行われると決済の完了です。
銀行の手続きのやり取りは電信ではなく、郵便で行われます。

D/Dについて

D/D決済のイメージ画像

D/DはDemand Draftの略で「送金小切手」のことです。

小切手を使って支払いをするメリットは、指定する日付までに代金を銀行に入金すればよいので、すぐに支払いをしなくても取引ができる点です。

D/Dでの決済の流れ

D/Dでの決済の流れは次のようになります。

1. 輸入者と輸出者の間で取引条件の締結
2. 輸入者の銀行が輸入者へ小切手を発行
3. 輸入者が輸出者へ小切手を送付
4. 輸出者が受け取ったこ切手を銀行で現金に交換

最初に輸入者と輸出者の間で取引条件を決めて締結を結びます。
その後、輸入者が銀行へ小切手の発行を依頼し、輸入者が受け取ると輸出者の所へ送付されます。

小切手を受け取った輸出者は、銀行でその小切手を現金に変える手続きをして、代金の支払いが完了です。

L/Cについて

L/C(信用状)のイメージ画像

L/CはLetter of Creditの略で「信用状」のことです。

銀行での振込や小切手などの方法だと代金を支払ったのに商品が送られてこない、などのトラブルが発生することがあります。

L/C(信用状)での決済は、それらのトラブルを防ぐ決済方法です。

新規の取引先の場合や、政情が不安定な国との取引をする際などに使用されますが、銀行へ書類を提出して銀行側が書類を審査することが必須となっています。

審査の時に書類に不備があったり、事実と違う点などがあったりすると買い取り拒否をされるので、取引をすることができません。

L/Cのやり取りは手続きが少々複雑なので、以下で説明をしていきます。

L/Cでの決済の流れ

L/Cでの決済の流れは次のようになります。

1. 輸入者側と輸出者側で締結を結ぶ
2. 輸入者が取引先の銀行にL/Cの発行を依頼
3. 銀行で輸入者の与信を調査・審査
4. 審査に合格するとL/Cを発行
5. 輸入者側の銀行が輸出者側の銀行へL/Cを送る
6. 輸出者が船積書類と商品を用意し銀行へ提出
7. 銀行で書類に不備がないか確認
8. 輸出者の銀行から輸出者へ代金を立て替えて支払う
9. 輸出者側の銀行から輸入者側の銀行へ船積み書類送付
10. 輸入者が船積書類を受け取り代金を支払う
11. 輸入者が書類と貨物を受け取る

輸入者と輸出者で契約書を作成して、締結を結びます。
締結が結ばれたら輸入者は銀行にL/Cの発行を依頼し、銀行は輸入者の与信を調査します。

輸入者に支払い能力があるかなどを確認するためです。

審査に通ると銀行が信用状を発行し、相手側の銀行へL/Cを送ります。

輸出者は届いたL/Cを確認して書類を用意し、銀行へ提出します。
銀行はその書類を確認して不備がなければ代金が輸出者へ支払われるのです。

輸出者から支払われた代金と書類はは銀行を通じて輸入者側の銀行へ送付。

輸出者へ書類が渡され税関での手続きを経て貨物を受けとるという流れです。

D/P・D/Aについて

D/PとD/Aの決済イメージ画像

D/PとD/Aはどちらも手形を使った決済の方法です。

D/PはDocument Against Paymentの略で、「手形書類引き渡し」のことです。
D/P手形と呼ばれることもあります。

荷為替手形を用いた決済方法のことで、荷為替手形の支払いを行い、船積み書類を受け取ることができます。

D/AはDocument Against Acceptanceの略で、「手形引き受け書類渡し」のことです。

手形を引き受けた後に船積み書類を渡すという条件で取引されます。
どちらの取引も流れはほぼ同じで、手形での決済になります。

D/PとD/Aの二つの違いは、輸入者側の銀行から輸入者へ船積み書類を引き渡す時の条件が違うことです。

D/Pでは輸入者側の銀行から輸入者へ船積み書類を渡す際に、輸入者が手形の支払いをすることが条件になります。

同じくD/Aでは輸入者が手形の期日支払いを確約することが条件になります。

D/P、D/Aそれぞれの決済の流れも少し複雑なので、以下で説明していきましょう。

D/Pでの決済の流れ

D/P決済をパソコンで確認している画像

D/Pでの決済の流れは次のようになります。

1. 輸入者と輸出者の間で締結を結ぶ
2. 輸出者が船会社へ船積み依頼する
3. 船会社が船荷証券を輸出者へ発行
4. 輸出者は銀行へ為替手形の発行を依頼
5. 銀行が手形を発行し輸入者側の銀行へ送付
6. 銀行が輸入者へ手形を呈示
7. 輸入者から代金の支払い
8. 銀行から船荷証券が渡され輸入者が荷物を受け取る
9. 代金は輸出者側の銀行へ送付
10. 輸出者への代金支払い

D/P決済は手形を使った支払いのやり取りが特徴です。

まず輸入者と輸出者が取引条件を決めて締結を結びます。

契約後は輸出者が船会社へ貨物の船積みを依頼し、会社は船荷証券を発行します。

輸出者は船荷証券を受け取った後、銀行へ手形の発行を依頼。
輸出者側の銀行は、手形と船荷証券を輸入者側の取引銀行へ送付します。

受け取った輸入者側の銀行は、輸入者へ為替手形を提示します。
輸入者から支払いをしてもらうためです。

入金が済むと銀行から輸入者へ船荷証券が渡されて荷物を受け取ることができます。

輸入者側の銀行は輸入者が支払っただ基金を輸出者側の銀行へ送付し、輸出者へ代金が支払われるという仕組みです。

D/Aでの決済の流れ

D/Aでの決済イメージ画像

D/Aでの決済も流れはほぼD/P決済と同じです。

1. 輸入者と輸出者の間で締結を結ぶ
2. 輸出者が船荷証券の発行を要請
3. 船会社が船荷証券を輸出者へ発行
4. 輸出者は船荷証券を受け取る
5. 輸出者が銀行へ為替手形の発行を依頼
6. 輸出者が船荷証券を提出
7. 輸出者側の銀行が為替手形を発行
8. 輸出者側の銀行が手形と船荷証券を相手の銀行へ送付
9. 銀行が輸入者へ手形を呈示
10. 銀行から船荷証券が渡され輸入者が荷物を受け取る
11. 代金は輸入者側の銀行へ送付
12. 輸出者への代金支払い

D/Aと決済の流れはほぼ同じです。

D/Pと違う点は、輸入者が為替手形の支払いをしなくても、何日までに支払いをするという確約をすれば船荷証券を受け取れることです。

確約した後は船荷証券(B/L)を受け取り荷物の受け渡しが行われます。

輸入者側の銀行は代金を輸出者側の銀行へ送付し、銀行から輸出者へ代金が支払われます。

各貿易決済におけるメリットとデメリット

貿易決済のメリットとデメリットについて調べている女性

貿易取引には色々な決済があることが分かりました。
しかし、それぞれの決済にはメリットとデメリットがあります。

貿易取引の際には、それぞれのメリットとデメリットを把握して最適な取引手段を選ぶことが大切になってくるため、ここからはそれぞれの決済におけるメリットとデメリットについて解説していきます。

T/T(電信送金)での決済におけるメリットとデメリット

T/T決済のメリットとデメリットのイメージ画像

T/T決済のメリットは電信送金になるため、輸入者と輸出者ともに素早く送金のやり取りができる点です。

インターネットバンキングを利用している場合は、場所や時間を問わず素早い送金が可能になります。

T/Tでの決済におけるデメリットは輸入者側が代金を支払ったのに、商品が送られてこないという点です。

このデメリットを避けるために、代金の支払いを数回に分けて分割で支払うという方法が取られることもあります。

M/T(普通送金)での決済におけるメリットとデメリット

M/T送金のイメージ画像

M/Tでの決済は電信送金ではなく、郵便による手続きになるために手数料が安く済むことがメリットとしてあげられます。

逆に郵便によるやり取りになるため、時間がかかることがデメリットになります。

急ぎの取引ではなく、手数料を安く済ませたいという場合などにはM/Tでの決済が向いているでしょう。

D/D(送金小切手)での決済におけるメリットとデメリット

D/Dでの決済イメージ画像

D/Dでの決済は小切手を使い、期日された日にちまでに支払いができるため、現金が手元に無くても支払いできる点がメリットになります。

この場合輸入者側に、より多くのメリットが受けられることになります。

逆に輸出者側にとっては、すぐに代金が入金されない、代金を回収できるかどうかリスクが伴うなど、輸出者側にとってデメリットの大きい決済方法です。

L/C(信用状)での決済におけるメリットとデメリット

L/Cでの決済のイメージ画像

通常の決済方法では、代金を支払ったのに商品が送られてこないなどのトラブルが起きた場合に、100%代金を回収できる保証はありません。

しかしL/Cでの決済は銀行が支払いの補償を担保する信用状付きの取引になるため、より安全な取引が可能になることが最大のメリットです。

L/C決済でのデメリットは、銀行の審査が入るため手続きに時間がかかることです。

スピーディーな取引を望む場合には大きな障害になるでしょう。

また銀行の審査に合格するためには、依頼者側の与信にある程度余裕があることが条件になるため、小さな資本での取引の場合など審査が通らないこともデメリットとしてあげられます。

D/P・D/A(手形書類引き渡し・手形引き受け書類渡し)での決済におけるメリットとデメリット

D/P・D/A決済のメリットとデメリットのイメージ画像

D/P・D/Aでの決済は、輸入者が銀行に支払いの約束をしないと、商品を受け取るための船荷証券(B/L)を受け取ることができません。

そのため輸出者側が代金を回収できないというリスクを下げられることがメリットです。

しかし輸入者が船荷証券の受け取りや代金の支払いを拒否した場合は、代金の回収が保証されずその点がデメリットといえるでしょう。

輸入者の都合で突然商品が要らなくなったり、代金の支払いができなくなってしまったりする、といったトラブルがまれに起きることがあります。

T/Tの意味と取引における色々な決済の方法まとめ

T/T決済について確認している画像

T/Tは貿易用語で電信送金のことで、決済の際には全部で5つの決済方法があります。

それぞれの決済方法には、決済の方法がスピーディーであるT/T決済、手数料が安いM/T決済、代金回収のリスクが少ないL/C決済など、それぞれに特徴があります。

各決済方法には、それぞれにメリットとデメリットがあるので覚えておくと便利です。

違いを把握しておくと実際の取引の際にスムーズなやり取りが可能になるでしょう。

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