
税関って何?貿易実務における役割とポイントを解説!
貿易実務をしていると耳にする「税関」。直接関わることが少なく、漠然としている方も...
税関って何?貿易実務における役割とポイントを解説!
貿易実務をしていると耳にする「税関」。直接関わることが少なく、漠然としている方も多いかと思います。本記事では貿易実務における税関役割に焦点を当てて、基本知識をお伝えします!
税関とは

税関は財務省の地方支部分局で、その名の通り「税=税金の徴収」と「関=関所/通関手続き」を行う国の行政機関です。貿易業務を行う上ではどちらも切り離せないですね。
税関は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄地区の9つの地域に設置され、各税関がそれぞれの地域を管轄しています。支署や出張所も多く、150箇所以上の拠点があります。
税関の5つの役割

では、具体的に税関のミッションはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは主要な5つの役割をご紹介します。
役割①輸出入貨物の通関
税関では、貿易での貨物の輸出入において、貨物の検査・許可を行う通関業務を担っています。日本の「関所」として、海外との取引に違法なものはないか、申告内容が法に則っているかを確認しています。
しかし、すべての貨物の中身を税関が確認しているわけではありません。基本的には書類のチェックのみですが、時に保税地域での税関検査を行い、書類と現物の不一致がないか検査します。
通関についてさらに詳しく確認したい場合は、下記の記事をご参照ください!
【保存版】輸出通関と輸入通関を基礎から徹底解説!制度を正しく理解しよう
役割②関税の徴収
日本では輸入時に関税や消費税がかかりますが、その正しい徴収を行うことも税関の役割です。日本では、輸入申告の審査が通り、税金を支払うことでようやく貨物を引き取ることができます。税関はその際の税額の決定、納付の確認等を行います。
輸入品に関税をかける主な理由は以下の2点です。
- 国の財源確保のため…日本の国税収入のうち、1割以上が関税および消費税です。国にとっての重要な財源の一つになります。
- 日本国内の産業を保護するため…海外の製品が、国内産の製品よりも著しく安い場合、国産製品が売れなくなってしまいます。国内の産業を守るためにも、関税で価格の差を埋めています。
役割③密輸の取り締まり
密輸とは、適切に通関申告されていない海外のものを日本に持ち込んでしまったり、そもそも輸入を禁止されているもの(麻薬や拳銃)などの持ち込みのことを言います。
これらを通常の貿易取引はもちろん、空港の税関での取り締まりも行います。
役割④貿易取引の円滑化
日本の貿易総額は2020年集計で約136兆円に上ります。日本は、中国、アメリカ、ドイツに続き世界4位となる、貿易取引量の多い国の一つです。
日々膨大な貨物の取り扱いと書類手続きが行われていて、よりスムーズに手続きを行うことが求められている中、税関はそのための制度や体制の整備や書類の電子化などを進めています。
役割⑤貿易統計の作成と公表
日々、わが国の貿易を取り巻く状況の統計を取るのも税関の重要な仕事です。どのような品物が輸出され、どのような品物が輸入されているのか、取引相手国の貿易状況はどうなのか、貿易総額はいくらなのか、といった貿易に関わる様々な統計を税関で行っています。
税関に関わる仕事

続いて、税関に関わる職業・仕事をご紹介します。皆さんの立ち位置はどこなのか、それ以外の組織がどんな仕事をしているのか、確認してみてくださいね。
税関職員
税関で働く国家公務員のことです。国家公務員試験に受かることでなることができます。空港の手荷物検査、通関業務、通関検査、船舶や航空機検査、その他税関内の人事、総務、広報など仕事内容は多岐に渡ります。
通関士、フォワーダー
主に貿易会社や商社などは、通関手続きを通関業者(フォワーダー)に依頼することが多いです。というのも通関業務を専門とする国家資格を保有した通関士が在籍しているからです。
法律上、輸入者に代わって通関申告が出来るのは通関士の資格を持った人のみとされています。通関士は税関に通関申告をする仕事なので公務員でも税関に在籍する人でもありません。
通関士の合格率は10〜15%となっており、難関な国家資格の一つでもあります。
貿易事務
輸出入を行う商社や貿易会社、メーカーなどで貿易に関する事務をする仕事です。主に海外の取引先とのやり取りや受発注対応、輸送・通関手続きの手配、貿易書類の作成・確認、納期の調整などの業務になります。
一般的に税関と直接関わりがあるのはフォワーダーまでで、貿易事務をする中ではあまり税関と関わることはありませんが、間接的に関わっていることを理解しておきましょう。
貿易実務上のポイント

税関の役割を理解できたところで、税関への申告を正しく行うためのポイントをご紹介します。是非、皆さんの実務に照らし合わせて確認してみてください!
規制品に気をつけよう
密輸のところでご紹介した通り、貿易においては輸出入がそもそも禁止されている貨物があります。それらは絶対に取り扱ってはいけません。
輸出入が禁止されてはいないものの、輸出においては用途や最終需要者を確認して事前に許可を得れば輸出できる、といった規制のある貨物があります。規制品は、NACCSを通して経済産業省大臣の許可を得て取得した「輸出許可証」を通関で提出することで、輸出することができます。契約前に、時間に余裕を持って貨物が該当品かどうか確認することをおすすめします。
通関を円滑に進められるようにしよう
通関を円滑に進めるためのポイントは、主に2つあります。
輸出入書類を理解する
まずは貿易に必要な書類について理解しておきましょう。主に必要な書類は以下です。
- インボイス
- パッキングリスト
- その他法令の既製品に該当しないことを証明した書類(非該当証明など)
- 原産地証明書
上記の中で一つでも分からないものがあると、スムーズに通関を進められない可能性があります。以下の記事を参照して通関の概要を今一度ご確認ください!
【保存版】輸出通関と輸入通関を基礎から徹底解説!制度を正しく理解しよう
通関業者(フォワーダー)へ通関を依頼する
個人で通関業務を行うことは非常に煩雑なため、通関業務を代行できる自社の業務にマッチしたフォワーダーを見つけましょう。
輸送方法は海上輸送なのか、航空便がメインなのか、取引するエリアは東南アジアが多いのか、欧米など幅広いのか、そのフォワーダーの強みと自社の強みがマッチするかなどが選定ポイントになるでしょう。
円滑に処理できないとペナルティも
通関がスムーズにできない場合、ペナルティや追加費用が課されることもあります。
- 保管料・・・保税地域に貨物を搬入してから一定期間を過ぎると1日ごとに課される料金です。
- ディテンション・チャージ・・・コンテナの返却が遅くなった場合に発生する料金です。
- 延滞税・・・関税を指定の期日までに納付できなかった場合にかかります
など、ご紹介したのは一部ですが貨物のハンドリングや通関処理が遅れると追加費用がかかる可能性があるので、常に通関の進捗を確認しながら業務を進めましょう!
自由貿易に関する国際条約・協定について知っておこう
日本は輸入の際に関税がかかりますが、全ての国との貿易に関税がかかるわけではありません。グローバル経済の活発を図り、自由な貿易や関税の軽減・免除のためのにつくられた国際条約や経済連携協定を特定の国と締結しているからです。具体的には、いかのようなものを締結しています。
- FTA(自由貿易協定)・・・協定の内容および交渉によって、段階的な関税の軽減・免除を目的とした協定。
- EPA(経済連携協定)・・・関税の軽減・免除に加え、投資規制の撤廃、知的財産制度の保護、人的交流など、FTAより幅広い分野での共通ルールを定めた協定。
- TTP(環太平洋経済連携協定)・・・アメリカと日本を中心とした太平洋沿いの国で結んだ協定のこと。特に中国の巨大経済への対抗も背景にありました。
- RCEP(地域的な包括的経済連携)・・・日本・中国・韓国等のASEANを中心とした15ヵ国の貿易協定。
これらの協定を結んでいる国との取引では、関税の軽減・免除が図れますので、通関時に「原産地証明書」を提出するようにしましょう。
【補足】税関の関連法令(関税三法)

税関は主に関税に関わる三つの法律、いわゆる「関税三法」をもとに、関税の徴収や通関業務を行っています。簡単に以下でご説明します。
- 関税法・・・関税とは、通関とは何かを定めた法律
- 関税定率法・・・関税の計算方法を定めた法律
- 関税暫定措置法・・・関税法や関税定率法の通りに運用すると悪影響が出る場合の一時措置を定めた法律
貿易事務の担当者であれば、ほとんど触れることはありませんが、税関職員がこの法律をもとに取り締まりを行なっていることも是非知っておいてください。
税関の仕事を知って、実務をよりスムーズに行おう!

貿易事務をしている中ではあまり直接の接点がない税関ですが、税関は貿易をする以上切り離せない行政機関です。税関がどんな仕事をしているのか、何のためにしているのかを知ることで、きっと本質を理解した実務ができることでしょう。
税関への通関申告で欠かせないフォワーダーでお困りのことがあれば、是非Portrichへお問い合わせください!お客様のニーズに合わせ、円滑に通関を行うためのご提案をいたします。お気軽にお問い合わせください。
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